富士市、富士宮市で発生した民事事件については、主に富士の裁判所で、裁判や調停が行われることになります。

具体的には、紛争の対象となっている金額が140万円以下の民事事件は富士簡易裁判所、140万円を超える民事事件は静岡地方裁判所富士支部、離婚、相続など家事事件の紛争処理は、静岡家庭裁判所富士支部となります。これらの裁判所は、富士市中央町(富士市役所の東)にある一つの建物の中にあります。
最寄り駅は、岳南電車ジャトコ前駅ですが、徒歩約15分とやや距離があります。

富士の旧裁判所は、敷地にテニスコートまで備えていた立派な建物でしたが、施設が手狭であった上、建物の老朽化は著しいものがありました。
現在の裁判所は、平成26年に改築した建物で、比較的新しく綺麗な建物です。
国土交通省中部地方整備局のホームページによれば、新裁判所は「司法の場として品位と風格のある外観を形成しつつ、日射抑制効果のある窓上の水平庇や複層ガラス、節電効果のあるLED照明などを採用し、環境負荷低減にも配慮してい」るとのことです。
施設の内部からは街最大のシンボルと言ってよい富士山を可能な限り眺められるよう、随所に工夫がなされています。

裁判所の1階には、地方裁判所(民事係、破産係など)、家庭裁判所、簡易裁判所の書記官室があります。
書記官室は、裁判所の受付や事務をしているところです。
2階には、地方裁判所の刑事係書記官室と調停に使用する部屋、待合室などがあります。
3階には、裁判で使用する法廷や弁論準備手続(後で解説致します)で使用される部屋、裁判関係者の待合室などがあります。

家庭裁判所とは?

富士の家庭裁判所では、離婚調停も行われます。
夫婦の間で離婚についての話し合いがまとまらない場合、まず家庭裁判所に離婚調停の申立てをして、裁判所で第三者を介してお互いに話し合いをすることになります。
このとき当事者の仲介に立つ裁判所の機関は「調停委員会」です。多くの調停期日では裁判官は出席せず、調停委員会のメンバーである調停委員2名(男性1名、女性1名)が仲介を行います。
調停委員は、専門家というよりも、民間から選ばれた豊富な社会経験を持つ方が選ばれているようです。
通常の裁判とは異なり、手続は非公開で行われます。
調停の当事者は、それぞれ待合室があり、お互いに入れ違いで調停室に入って話をすることになるので、調停で両当事者が実際に顔を合わせることはありません。ただし、待合室の外ではちあわせないように注意する必要があります。
1回の期日では、お互い約30分ずつ話し、全部で2時間程度で終わるのが一応の時間の目安です。
しかし、時には、一方当事者が1時間以上しゃべり続け、その間、もう一方の当事者が待合室で待たされることもあります。
このように、調停手続は、1回の期日で多くの時間がかかる傾向があります。
調停期日の回数ですが、すぐに終わるときもあれば、数回経ても話し合いがまとまらないときもあります。

調停が不成立で終わった場合、離婚の争いであれば訴訟提起された場合に裁判で決着をつけることになります。
婚姻費用や子に関する争いなどについては、審判に自動的に移行します。
いずれの手続においても、話し合いではなく裁判官が判断を下すことになります。
もっとも、訴訟手続の中で和解することもできるため、話し合いの余地がなくなるわけではありません。

簡易裁判所とは?

簡易裁判所では、通常の裁判だけでなく、金銭の支払いを請求する場合には、書類審査のみで行われる支払督促、60万円以下の場合に原則1回の審理で行う少額訴訟、相手方との話し合いで解決を図る民事調停などの制度があります。
簡易裁判所の訴訟(裁判)では、裁判官である簡易裁判所判事のほか、専門的知識を持つ司法委員が期日に出席し、裁判官に助言を行います。
簡易裁判所にも調停の制度があり(民事調停)、この場合の調停委員は、弁護士が選任されている場合も多いです。

これらの制度は、通常の裁判よりも簡易で迅速な解決を図る制度なので、弁護士をつけなくても手続を利用する方もいます(とても大変ですが、弁護士をつけずに裁判をすることも可能です)。
しかし、やはり自分だけで手続きをするのは大変なので、こうした手続を利用する場合にも、弁護士に依頼する方もいらっしゃいます。
調停で弁護士を依頼する場合、弁護士に加えて本人も出席しなければならない場合がほとんどですが、弁護士から随時アドバイスをもらえるとともに、話し合いがスムーズに進行し、争う期間を短くすることができます。

訴訟とは?

地方裁判所、簡易裁判所では、通常の訴訟も行われます。
調停が不成立に終わった場合などは、家庭裁判所でも訴訟が行われます。
訴訟は、まず原告が訴状を裁判所に提出します。
訴状が受理されてからおよそ1か月半後に第1回期日が開かれます。
被告は、第1回期日に限り、答弁書を提出しておけば、必ずしも出席する必要がありません。被告は訴状を受け取ってから十分に答弁書を書いて、主張する時間がない場合が多いからです。
第2回以降の期日では、およそ1か月に1回程度のペースで期日が開かれます。
また、第2回以降の期日は、弁論準備手続といって、法廷ではなく丸テーブルのある小部屋で非公開のうちに当事者と裁判官が裁判進行の打合せをすることになることが多いです。
弁論準備手続は非公開ですが、裁判官の許可があれば当事者や代理人ではない関係者を同席させることができます。
期日までに、双方から互いに主張を書いた書面(準備書面)を提出し、主張と反論を繰り返していくわけです。また、証拠も提出していきます(書面の証拠がほとんどです)。
このように、主張と証拠が双方出尽くすまで、各期日ごとに双方が主張と反論を繰り返していくため、訴訟は大変時間がかかり、1年以上かかってしまうことも普通です。

裁判が行われる法廷には、中央に裁判官と書記官が座り(簡易裁判所の場合には、さらに司法委員が座ります。)、両サイドには原告と被告がそれぞれ座ります。
ほとんどの場合、実際に出廷するのは当事者の代理人である弁護士です。当事者本人が来なければいけない場合は、双方から裁判官が直接話を聞く尋問期日くらいです。
法廷は、裁判の際、誰にでも一般公開されています。
ですが、裁判の期日(口頭弁論期日)では訴訟の進行の打合せが行われることがほとんどなので、期日が数分で終わってしまうことも多く、一般の方が自分の全く知らない事件について傍聴しても、今裁判で一体何が行われているかを一回見ただけで十分に理解するのは難しいのではないかと思います。
当事者が誰で、いかなる事件の裁判がその日に開廷しているかは、地裁書記官室の裏にある通路に掲示されています。

自己破産・個人再生について

また、地方裁判所では、自己破産個人再生も申立てを受け付けています。
自己破産は、借金を全額免除(「免責」といいます)にする手続きのことですが、持ち家がある場合、住み続けることができなくなるという不利益があります。
また、税金、社会保険料、悪意の不法行為による債務、親族間の扶養義務、雇用していた従業員の給料等の支払い義務などは免責されません。
個人再生は、借金を減額し、分割払いにできる手続きです。
この場合にも、借金がある方が、自分の力だけで裁判所に破産・再生を申し立てるのは困難です。特に、申立てに必要な書類を集めるのが非常に大変です。
そのため、弁護士に申立ての代理を依頼することが一般です。
ただ、弁護士に依頼しても、手続きをすべて任せきりにできるわけではなく、破産に至った事情や現在の家計状況を知っていたり提出すべき書類を持っているのは借金がある方本人ですから、弁護士と協力して申立てに向けた準備をする必要があります。

本庁との違い

富士市にある静岡地方裁判所富士支部と静岡市にある静岡地方裁判所(「本庁」といいます)との違いですが、裁判所の運営における権限が大きく違いますが、基本的には我々市民にとっての地方裁判所としての機能としてはほとんど変わりありません。
市民にとって差が出てくるのは、簡易裁判所の事件が控訴されたときです。
この場合、地裁の支部で事件を審理することはできず、本庁で裁判が行われます。
ですので、富士市に住んでいても控訴した場合は静岡市の裁判所まで出向く必要があります。
もちろん、弁護士を頼んでいる場合は、弁護士が出廷すれば足り、当事者ご本人が裁判所まで行く必要は、基本的にはありません(和解や尋問の場合は、出廷する必要がある場合もあります)。

富士市内に事務所を持つ弁護士が、本庁に出廷することはよくあります。
当事務所では、静岡にある本庁や静岡簡易裁判所などに出廷する場合でも、日当は頂きません。

法律事務所との関係

弁護士は全員、必ず事務所を構えなければなりません。
弁護士の事務所(法律事務所)は、弁護士が普段仕事をする場ですが、市民の方々との関係でいえば、法律相談や依頼された事件の打合せをする場所になります。

法律事務所は、頻繁に裁判所に行かなければいけないため裁判所の近くに構えていることが多いです。
一方で、裁判所から離れていても、法的サービスの需要に応えるために、あえて法律事務所が少ない地域に事務所を構えている弁護士もいます。

当事務所は、吉原中央駅(バスターミナル)の目の前にあり、大規模駐車場に隣接しているため、市民の皆様にとってアクセスがしやすい場所にあるとともに、富士の裁判所から至近距離に位置しているので、富士・富士宮で起こった紛争に対し、迅速に処理・対応することができます。

裁判所の開所時間は平日の9時から17時までなので、法律事務所の営業時間もそれに合わせていることが多いです。
市民の方々からすると、仕事をされている時間と重なるので不便に感じる方が多いかと思いますが、土日や夜に営業していない法律事務所が多いのはこれが理由です。

刑事事件の場合は?

なお、刑事事件については、静岡地方裁判所富士支部で裁判が行われることが多いですが、沼津市にある静岡地方裁判所沼津支部で裁判が行われることも多いです。
微罪の裁判については簡易裁判所で行われる地域もあるようですが、富士・富士宮市の刑事事件はもっぱら地方裁判所の裁判官が審理します。
裁判員裁判対象事件(一定の重大な犯罪)については、富士の裁判所には対応する設備がないため、すべて静岡地方裁判所沼津支部で行われます。
少年事件については、静岡家庭裁判所沼津支部(地裁沼津支部と同じ場所)で審判が行われます。

逮捕された被疑者は、原則10日、最大で20日間警察署の留置場に勾留され、起訴されるか否かが決まります。
起訴された場合、さらに1か月半程度勾留され、簡単な事件の場合、1回の裁判(「公判」といいます)で審理が終わります。
審理は全部で1時間程度です。
審理をすべて終えると、さらに3週間程度後に公判の期日があり、判決が言い渡されます。
判決の言渡し期日は、最大で10分程度と、すぐに終わります。

起訴されなかった場合、直ちに釈放されます。
不起訴となった場合、その後は何もありませんが、略式起訴となった場合は、釈放後に10万円から数十万円程度の罰金を国に対して支払わなければなりません。

裁判所は相談に乗ってくれる?

裁判所は、裁判所を利用する手続のやり方についてであれば職員が説明してくれる場合がありますが、法律関係で困っていることの相談や争いごとの中身について質問しても、「弁護士に相談してください」と言われることがほとんどです。
裁判所は、法的な紛争を解決する場所ですが、市民の皆様の相談にのってくれる場所ではありません。
基本的に、市民の皆様のご相談は、私たち弁護士が対応させていただくことになります。

また、訴えられたとき、つまり、自分に対して訴訟が提起された場合は、裁判所から訴状が届きます。
裁判所から書類が送られてきた場合も、裁判所ではなく弁護士に相談して頂き、対応を検討することになります。

さらに、弁護士に依頼すると、裁判所での手続きを経ることなく、交渉だけで問題を解決できる場合があります。
裁判所での手続きは時間がかかる場合が多いため、交渉で解決に至れば迅速に問題が解決され、お金の支払いの問題も速やかに解決できる場合があります。

当事務所では、お気軽なご相談をお待ちしております。

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ひのもと法律事務所
輿石逸貴 弁護士(静岡県弁護士会)


令和3年1月にひのもと法律事務所を設立。静岡県東・中部を中心に、交通事故、離婚、相続、債務整理、刑事事件等、幅広い分野に対応する。 憲法学会、比較憲法学会に所属し、在野での憲法研究家としての一面も持つ。