覚せい剤を使用する人は後を絶ちません。

テレビでもたまに、芸能人や有名人などが覚醒剤を使用して逮捕されるというニュースが流れることがあります。

私の地元、静岡県富士市も覚醒剤事件が多い街です。

ではなぜ覚醒剤を使用することは法律(覚醒剤取締法)で禁止されているのでしょうか?

覚醒剤の危険性

大阪府警のホームページによれば、「覚醒剤は、乱用する人の心や体をボロボロにし、人としての生活を営むことを不可能にして」しまう。また、「幻覚や妄想などの精神障害を引き起こし、ついには殺人や放火などの凶悪犯罪や悲惨な事故を引き起こすことにもな」るので、法律で厳しく禁止されているとあります。

この説明はまったく正しいのですが、この説明だけでは、具体的な実感としてわきにくいと思います。

私の弁護士としての仕事上の経験から言うと、まず覚せい剤を常用している方といっても、薬物中毒によってコミュニケーションが不可能になるようなレベルの方は多くありません。

実際に会って話をすると、一見普通の日常生活を送っている人のように見えます。

覚醒剤を購入するには資金が必要なため、常用者であっても社会人として働いている方も多いです。

交友関係が広く、社交的な方も多いです。

しかし、覚せい剤を常用されてる方は、他の種類の犯罪を犯す方と比べても、身勝手で自己中心的な言動することが少なくないように感じられます。

もはや若者とは呼べない40代から50代の方であっても、事あるごとに他人のせいにしたり自分に妙に甘かったりする、実年齢と精神との乖離が大きい方が多いように感じます。

薬物のことしか考えられなくなってる影響かもしれませんし、脳への影響により自分のことしか考えられなくなっているのかもしれません。

自分や周りが気づかぬうちに薬物の影響が脳に現れてしまうのです。

自分のことしか考えられなくなるので、結果として、周囲の人や社会とのトラブルが増えることになります。

また、覚せい剤中毒になると、アルコールや恋愛など他のものへの依存も深めるようになります。

中毒が進行すると

さらに覚せい剤中毒が重度になると、幻覚や妄想が現れるようになります。

覚醒剤の使用に起因して精神の病気を発症する方も多くいます。

このような状態になってしまうと非常に危険で、中毒者の末期症状では、現実と妄想の区別がついにつかなくなり、幻覚や妄想で見聞きした事実をもとに行動するようになります。

そうすると、被害妄想が強くなり、上で書かれているように、殺人等の凶悪犯罪のような突飛な行動を起こすようになります。

外面的には普通の人間ですが、知らぬまに内部から人格が破壊されてしまうので、覚せい剤は絶対に手を出してはいけないのです。

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ひのもと法律事務所
輿石逸貴 弁護士(静岡県弁護士会)


令和3年1月にひのもと法律事務所を設立。静岡県東・中部を中心に、不動産、建築、交通事故、離婚、相続、債務整理、刑事事件等、幅広い分野に対応する。 憲法学会に所属し、在野での憲法研究家としての一面も持つ。