少子高齢化にともない、全国で空き家による問題が増えています。

ここでは、空き家に関しよくお受けするご質問とそれに対する回答をまとめました。

Q 空き家は何が問題なのですか?

A.空き家が適正に管理されず放置されて、老朽化が進むと、屋根や壁が崩れ、周囲に危険が及び、人に危害を与えるおそれがあります。

また、不審者の侵入放火されるおそれ、ごみの投棄により衛生状態と景観が悪くなるおそれもあります。

空き家の所有者には、建物や敷地を適切に管理する民法上の責任があります。

もしも、倒壊や建築部材の飛散、落下などにより近隣の家屋や通行人などに被害を及ぼした場合、民法の規定(717条1項ただし書など)により、所有者は損害賠償しなければならない場合があります。

Q 相続を放棄すれば管理しなくてもよいのですか?

A.民法940条1項によれば、相続放棄をしても、遺産を現に占有している場合には、他の人が遺産を相続するか、裁判所が相続財産清算人を選任して管理が始まるまでは、管理を継続しなければなりません。

Q 空き家を解体せず放置するとどうなるのですか?

A.空き家を解体せずに放置し、建物が空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、「空家特措法」という)上の「勧告」対象になった場合、固定資産税の住宅用地の特例の適用除外となるため、軽減措置がなくなり土地の固定資産税が高くなります

法律で、著しく保安上の危険となる恐れがある空き家、著しく衛生上有害となる恐れの空き家等については、市が「特定空家等」(空家特措法2条2項)に認定し、市長が助言・指導、勧告、命令、代執行(強制的に除却等をして費用を所有者に請求)までできる規定が設けられました。

Q どのような場合に「特定空家等」に認定されるのですか?

A.空き家が適正に管理されず、 

・倒壊等保安上危険となるおそれ
・衛生上有害となるおそれ
・景観を損なっている
・生活環境保全のため不適切

以上のいずれかの状態を満たす場合、市が「管理不全空家等」として認定します。

「特定空家等」とは、管理不全空家等のうち、下記の条件のとおり著しい悪影響を及ぼす状態であるとして市が認定したもの(空家等対策の推進に関する特別措置法に定めるもの)です。

①そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、①そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態、③適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

①~④のうち、少なくとも1つを満たすことが必要(「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」

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ひのもと法律事務所
輿石逸貴 弁護士(静岡県弁護士会)


令和3年1月にひのもと法律事務所を設立。静岡県東・中部を中心に、不動産、建築、交通事故、離婚、相続、債務整理、刑事事件等、幅広い分野に対応する。 憲法学会に所属し、在野での憲法研究家としての一面も持つ。