依頼者の車は信号待ちをしていたところ、後ろから追突されました

依頼者は、車両後部に損傷を負うだけでなく、ケガ(ムチ打ち)を負いました。

この場合、過失割合は0:100で、全面的に相手方に過失が認められます。

私がかつて被害者の代理人として受任し、相手方に車両修理代、治療費、通院慰謝料などを請求した事件がありました。

支払うだけの資力(現金、預貯金など)がないのか、相手方からは支払いを拒否する回答がありました。

そこで、相手方の住所の登記情報を調べたところ、相手方の自宅建物は相手方の所有であることが判明しました。

加害者の自宅を仮差押え

そこで私は相手方の自宅建物に対し仮差押えの申立てを行い、まもなく訴訟提起も行ないました。

仮差押えは、本来、将来の強制執行(差押え)に備え、債権を回収するために一時的に保全するための手段です。仮差押えにより、債務者が財産を勝手に処分しないようにすることができます。

ですが、本件のように、仮差押えには相手方への威嚇的な効果も期待できます。突然、自宅が仮とはいえ差押えの通知が届けば、誰しも驚くでしょう。

仮差押えが裁判所に認められ、相手方に裁判所から通知が届くと、自宅建物を仮差押えされたことにさすがに驚いたのか、相手方から連絡があり、相手方の知り合いからお金を立て替えてもらうことになり、損害賠償額の全額を支払って貰いました

一般的に、相手方に預貯金の残高がない場合、たとえ訴訟で勝訴判決を得たとしても、相手方から支払いを受けることは困難です。

しかし、もし相手方が不動産を所有していることが判明した場合には、その不動産を仮差押えすることにより、本件のように支払いを受けることができる場合があります。

仮差押えの手続には、相手方にプレッシャーを与える効果もあるのです。

ただし、不動産の価値が少ない場合などは競売が困難なため、仮差押えをしても効果が無い場合もあります。

また、仮差押えのデメリットとして、事前に担保金を裁判所に納付しなければならないという点もあります。

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※紹介事例は実際の事件とは内容を一部変えています。

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ひのもと法律事務所
輿石逸貴 弁護士(静岡県弁護士会)


令和3年1月にひのもと法律事務所を設立。静岡県東・中部を中心に、不動産、建築、交通事故、離婚、相続、債務整理、刑事事件等、幅広い分野に対応する。 憲法学会に所属し、在野での憲法研究家としての一面も持つ。